藤真 健司様

 手紙を書くのは慣れていないので、文章が変になってるの、許してね。
 もうすぐ、春ですね。今はまだ冬だけど、健司がこの手紙を読む頃には、桜も ちらほら咲き始めているでしょう。今年は一緒に桜が見れなくて、残念です。卒 業おめでとう。もうあのメンバーでバスケしてるところ見れないと思うと寂しい けど、みんななら、きっとすぐ集まって馬鹿騒ぎするだろうから、あんまり寂し がらないことにします。
 健司には謝らないといけないことだらけです。だけどキリがないから、謝らな いことにします。だから、健司も謝らないで下さい。
 去年の夏、湘北に負けたあとに行った花火大会、とても楽しかった。知らない フリしてたけど、インターハイの初戦だったあの日、健司が暗闇に紛れて泣いて たの知ってたよ。久しぶりに、健司の涙を見た気がします。
 みんなは元気ですか?これからは、絶対に会えなくなるから、気になります。

花形、勉強教えてくれてありがとう。先生に教えてもらうより、わかりやすか った。
長谷川、いつも黙って助けてくれてありがとう。その優しさに結構とき めいてたんだよ。
高野、もう下手なナンパは止めた方がいいよ。でもあんたのそのキャラは永遠 だと思う。
永野、相談するのはいつも永野にだったよね。いつまでもお母さんでいてね。
健司、あんな偉そうなことばっかり言ってたけど、本当は誰よりも努力してた の知ってるよ。健司はいつでも私のヒーローだった。ありがとう。大好きだよ。

 なんだか気恥ずかしくなったので、もう止めます。ただ、最後にみんなに会え なかったのが、寂しいです。それから、健司、嘘ついてごめんね。どうしても、 本当のことが言えませんでした。健司にだけは、言えませんでした。謝らないっ て言ったのに、謝っちゃいました。しょうがないよね。

 また、いつか会うことができるのなら、また健司と高校生活を送りたいです。
それじゃあ、また。




P.S
大学合格おめでとう。
 私の分まで生きて下さい。そうして、楽しんで下さい。






四月、始まりの季節に君の終わりを知った




090720