味気ないほどにあっさりと、婆娑羅大学への進学が決まった。時を同じくして、竜の旦那も婆娑羅大学に進路変更したことを知った。これではなと旦那も合わせたら、いつものメンバ ーが全員婆娑羅大学へ進学することになる。……忘れていたが鬼の旦那もである。これだけ揃うと、いっそ今までと大して変わらないなと思う。きっと大学生活も今まで通りにつるん で、適当に遊んで過ぎるのだ。そして気づいたら社会人になって、そんで結婚とかしていいおっさんになるのだ。あの頃は若かったとか言っちゃってさ。 担任のいやに熱の入った話を真面目に聞く奴なんかいなかった。ちらりと辺りを見回しても、欠伸をしながら机に突っ伏したり、窓の外を眺めたり、そんな奴らばかりである。窓から吹 く風はまだまだ肌寒かった。桜も咲いてはいない。少しずつ膨らんだ蕾がほんの少しピンク色に染まっているのがわかった。あと2週間もすれば卒業である。この教室から眺める廊下 も、校庭も、制服の後姿も、懐かしいと思える日々が来るのである。ブレザーの下のベージュのカーディガンは、袖のところが少し伸びていて、そのだらっとした感じが気に入ってい た。腕を枕にして寝る時も、肌触りが良くて寝心地がよかった。ユニ○ロのやっすいカーディガンも、3年間使うと愛着が湧く。いろんな奴とかぶっていて、そう、ちゃんとも同 じだと笑っていた。3つ前の席のちゃんは、ずっと窓の外を見ていた。右肘をついて、黒髪をさらさらと流して、ベージュのカーディガンに身を包んでいる。やっぱりお揃いだ 、と思って、なんとなく満足して目を逸らした。廊下にいる沢山の他クラスの待ち人の中のでかい影を見て、そうだ、今日は鬼の旦那達と遊びに行く約束してたんだったと思い出した 。視界の隅で、ちゃんは大きく伸びをした。気付けば担任は話を終え、ホームルームは終了へと近づいていた。 |