俺、本気なんだ。真顔で言った竜の旦那に、そこにいた全員が全員息を呑んだ。何を言い出すのか、このバカは。思わず噴き出した俺様につられる様に鬼の旦那が腹を抱えて笑い だした。前田の風来坊は恋だねーなんて言っているし、旦那は旦那で政宗殿!なんて言いながら目を輝かせていた。 「Shut up!」 バツが悪そうにそう呟いた竜の旦那にまた、一同がにやにやと笑いだす。結局一番に切り出したのは、風来坊であった。 「その女子大生のほうはどうなんだい?」 「What?」 「だからさ、脈ありなのかい?」 「それがわかったらてめえらになんか言うか!」 そりゃそうだ。と思わず納得している横で、旦那はなぜか吠えている。まあまあ落ちていて、と諌めても聞こえていないからとりあえず放っておいて、項垂れる竜の旦那に声を掛ける。 「竜の旦那がねえ、珍しい」 黙りこくった竜の旦那は何も言わない。鬼の旦那は、告っちまえよと囃し立てている。風来坊は恋はいいねー、とまた笑い出す。結局、 だれも竜の旦那の問題に本気で答える気はないのだ。なんとなく成功するって気付いているから。それは彼の出す独特の空気が、結局のところ幸せそうであるからだろう。 この季節の屋上はそろそろきついな、と笑い声と怒鳴り声と、それから叫び声を聞きながら空を見た。綺麗に晴れてはいるけれど、寒い。そうか、もうすぐクリスマスかなん て考えながら、今年は1人だなーと茫然と思った。いつも独りであったから大して変わらないのだが、知る前と知ってからではいろいろと違う。けれど、それだけだ。どうせ 受験生だ。バイトか、大人しく勉強でもしてればいい。未だ騒ぎ続ける奴らを見て、笑った。今はそう、楽しければいい。 |