諦めたらそこで試合は終了ですよ、と言った人は誰だったか。あ、安西先生だった。とりあえず、俺様の高校生活はなんかそんな感じだった。まあ、もともと熱血に興味はない けどね。でも、今少しだけ思うのは、今度があったら、もう少しだけ、ほんとにもう少しだけ頑張ってみようか、ということだ。卒業式を終え集合写真を撮り、あちこちで泣いて、 笑って、騒いでいる中で、俺様もまた笑いながらそんなことを思うのだ。竜の旦那は後輩からボタンを引き千切られて全てなくなっていた。そして俺様のボタンも今最後の一個を 奪われて、全部なくなった。旦那だけ、必死に死守している。はなに渡すらしい。それを笑いながら、むさ苦しいのに群がられているチカちゃんを無視して辺りを見回す。保護者と 、卒業生と、在校生がグラウンドにひしめき合っていた。今日が、最後の登校日である。桜は卒業式に合わせたように満開に咲き乱れていた。入学式に掛かるころには、花は美しく 散るのだろう。今日一日は少しだけ、メランコリックに過ごそうと思う。(過ごさせてくれるかは別として)そうして次に会う時にいつもの俺様で入れるように、笑って過ごそうで はないか。ちゃんは友達に囲まれて、笑って泣いていた。黒髪はキラキラと輝いて、眩しい。はなは顔いっぱいに満面の笑みを湛えて、朗らかな春先の風に髪をたなびかせてい る。 「おい佐助!行くぞ!」 振り返れば旦那達が集まって、むさ苦しく笑いながら俺様を呼んでいた。こんな光景も最後かな、なんて苦笑して、俺様は歩き出す。ちゃんに背を向けて、笑い声を聞きながら。 |