朝、目が覚めたのは8時だった。それで、下着姿のままのろのろとベッドから這 い出して、昨日の食器が放り出されたままのだらしないキッチンへと向かった。 古びた冷蔵庫を開けて、オレンジジュースをグラス一杯飲み干して、べたべたに なった唇を舐めまわした。怠い体が、無意識に何かを探していた。だから、微か に光が漏れるリビングに向かったら、地べたに開きっぱなしの雑誌をふんずけて 不愉快になって、ピンクのカーテンを剥ぐように開けて、それから私に降り注ぐ 朝日にげんなりした。散らばっているスウェットに袖を通したら、ぶかぶかで、 だぼだぼで、ワンピースみたいになって、明らかに男物で、鼻が痒くなって、袖 で擦って、赤くなって、目が痛くて、笑って、泣いた。そしたら10時になって、 仕事に行くの嫌になって、でっかいサンダルでベランダに出て、暖かい日を浴び て、しゃくりあげた。緩やかな風が吹いて、髪が揺れて、烈の匂いがして、悲し くて、虚しくて、下唇を噛んだ。お腹が空いて、部屋に戻って、転がってる週バ スを無視して、ペアのマグカップを見ないフリをして、適当にパンにかぶりつい て、やっぱり烈の匂いがして、堪らなくて、どうしようもなくて、また、泣いて 、泣いて、泣いた。




泣きたくなる程愛しい温度



090225